第一章 ともに暮らす家に起きていること

W 生活の質の低下と社会の崩壊

43−47

X 地球規模の不平等

48−52


W 生活の質の低下と社会の崩壊

43.人々の生活に及ぼす影響
 人間もまたこの世界の被造物であり、生存権や幸福権を享受し、固有の尊厳が付与されている。。。環境悪化や使い捨て文化が人々の生活に及ぼす影響を考えずにはいられない。


4.都市の無秩序な成長
 桁外れの無秩序な都市。暮らすには不健康なところ。巨大で非効率な構造物。自然との触れ合いもなく、生きるようにはできていない。

45.社会から見捨てられた人々を排除する場所の私有化
 美しく住みよい場所の私有化。少数者のための都市空間。

46.地球規模での変化に見られる社会的様相
  ・技術革新の雇用への影響。
  ・社会的疎外
  ・エネルギーや他のサービスの不公平な分配や消費
  ・社会の分断化
  ・増大する暴力や新しい形態の社会的攻撃の増加
  ・麻薬取引
  ・増加する若年層の薬物使用
  ・アイデンティティ喪失

47.メディアとデジタル社会の影響
  知識や感情の伝達や共有を可能にする。
  しかし、他者の苦悩や喜び、他者の個人的体験の複雑さに直接触れることを妨げることもある
  ・刺激的な可能性、
  ・対人関係での深くて憂鬱な不満、
  ・有害な孤立を引き起こす可能性、にも心を留めるべき。


 急激な社会構造の変化は、いままでの生活様式や価値観、社会通念を大きく変えていき、そこから生じる人間関係の崩壊や自分自身のアイデンティティの喪失にと繋がっていった。


X 地球規模の不平等

48.人間環境と社会環境の悪化
  人間や社会の悪化の原因に注意を払うことなしに、環境悪化に適切に立ち向かうことはできない。
   環境と社会の悪化は、地球上の最も弱い人々に影響する。

49.環境問題に正義を
  そのような影響を及ぼす諸問題を、ほとんどの人ははっきりと自覚できていない。
  都市部における触れ合いや出会いの欠如は良心を麻痺させ、現実から目をそらせる。

50.人口問題と環境問題
  貧困問題の解決として出生率を下げることは、問題からの逃避である。貧困問題の真の原因 は、過度で飽くことなき消費主義だからである。

   
 ここで「リプロダクティブ ヘルス」という言葉について少し考えてみる。
 1994年、エジプトのカイロで開かれた国連の国際人口開発会議(ICPD)で、この言葉の概念が初めて公式に提唱されたと言われている。それは人が生涯にわたって差別と強制と暴力を受けることなく性と生殖に関して、身体的、精神的、社会的に良質な健康環境にあることを「リプロダクティブ ヘルス」といい、その状態を享受する権利を「リプロダクティブ ライツ」という。
 教皇フランシスがこの言葉を用いながら何か歯切れが悪いのは、この権利には性や身体のことを自分で決め守ることができる権利が含まれているからである。即ち、合法かつ安全な中絶の権利、避妊の権利、生む生まないを自由に決定する権利、が含まれ、これが開発途上国に対する国際的圧力となっている、と表現されている。(以上、ウイキベディア参照)
 即ち、性や身体のことを自分で決め守ることができる権利は、カトリックの信仰と相容れないものがあり、教皇はこの部分については反対せざるを得ないのである。教皇は問題の核心である消費主義を、人口問題にすり替えて、そこへ逃避していると非難する。


51.エコロジカルな債務
  エコロジカルな債務ー富裕国の莫大な消費が、貧しい国々の自然に大きな傷跡を残している。


 債務とは他人から借りたものや金銭を返済する義務を言う。それ故、エコロジカルな債務とは、先進国と言われる国や豊かな国の後進国とか貧しい国といわれる国への植民地化や資本主義、大量消費主義などによって、自然からの大量搾取、自然破壊、自然汚染や環境汚染などに甚大な傷を与えたことを、エコロジカルな債務と表現している。

52.エコロジカルな債務の返済
   先進国は、非再生可能エネルギーの消費を大幅に制限することや、持続可能な開発のための政策や計画への支援を通してより貧しい国に資することで、この債務の返済の貢献しなければならない。

 先進国や裕福な国は返すべき債務を負っている開発途上国や貧困に苦しむ国に対して、その債務を返済すべきべきである、と教皇は言う。援助や支援ではない。債務を返済すべきなのだ。



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